家族のためのアパート
アメリカの大学の多くがそうであるように、
私の通った大学でも、家族向けのアパートが用意されていた。
私たち家族はそのアパートでサウスキャロライナでの生活を送った。
3LDKの十分な広さのアパートで、隣、階下はすべてアジア系住民だった。
隣は中国人一家、階下は韓国人一家とイラン人一家、
下のイラン人の奥さんはよく次男建佑の面倒をみてくれた。
隣の中国人の奥さんは威勢がよく、英語は片言だったけど、
誰とでもよく話をしていた。
会話の語尾にはyou know?が耳障りなほどに
繰り返される。
みんな穏やかな気質の人たちばかりで、
夕方になると公園で夕涼みをしながらいろいろなことを話した。
食事を作って近所隣と分け合ったり、
いっしょにFarmer's Market に行ったり、
なにかと心の支えになっていた。
韓国人の旦那さん(キムさん)からは韓国語を教わった。
同じ学部で学ぶ仲だったので、共通の話題も多かった。
ある日、キムさんの奥さんがダウンタウンへ洗濯物をもって
クリーニング屋さんへ行くと、強盗に襲われ、
殴る蹴るの暴行を受け、右腕を負傷して帰ってきた。
恐ろしいニュースに騒然としたが、
その後、奥さんのケガも回復し、普通の生活を取り戻した。
とにかく、命があったことに安堵した。
また、ある時友人がダウンタウンで夜、酒を飲んで歩いていたら
ピストルを突きつけられ、20ドル奪われた。
それでも命があったことに安堵した。
アパート周辺はいたって平和なのに、
ダウンタウンは危険っていうイメージが付きまとった。
アパート周辺はきれいな家が立ち並び、
きれいに刈られた芝、大きな木々、素敵なガーデンエクステリアと
雑誌に掲載されそうな家ばかりで、家族で夕方散歩するのが楽しかった。
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